11 novembre 2015
“色”と“撮影”の秘話が満載!「THE ORIGIN II」スタッフトークショー付き上映会レポート
色彩設計・安部なぎささん、撮影監督・葛山剛士氏が登壇!
全国15館でイベント上映中の『機動戦士ガンダム THE ORIGIN II 哀しみのアルテイシア』では、11月10日(火)に新宿ピカデリーにて「スタッフトークショー付き上映会」が開催された。
トークショーには、サンライズの谷口 理プロデューサー、色彩設計・安部なぎささん、撮影監督・葛山剛士氏が登壇し、設定資料や制作過程の画像を見ながら、アニメーション制作の裏側について語った。
▲左から谷口プロデューサー、安部なぎささん、葛山剛士氏。
▲スクリーンに映し出される設定画を見ながら、直に解説していく。
まずは安部さんから「色彩設計」という仕事について、「背景以外のキャラクター・メカ・小物などの、基本になる全ての色を決める」と説明があり、原作コミックスに色がある場合はそれを参考にするが「安彦さんが使う色は混ぜて作ったものが多いので、何色のつもりで塗ったんだろう、と推理するところから始まります」と語る。
また、コミックスに色がない場合は監督や演出と相談して決めるが、例えばエドワウの服はクールなイメージ、シャアは軽いイメージなど、色で性格を表すこともあるそうだ。「モビルワーカー MW-01 01式 初期型」のオレンジ色は、安彦総監督のこだわりとのこと。はじめは「モビルワーカー MW-01 01式 後期型(マッシュ機)」のような赤みがかったオレンジにしていたが、「もう少し薄いオレンジがいい」と言われ、現在の色になったそうだ。
さらに、アムロの瞳の色について「『機動戦士ガンダム』では黒だったので、今回もはじめは黒っぽくしたのですが、『いや、アムロは青なんだよね』とさらっと言われて驚いた」という裏話も。「深い青なのかなと思って色を作ったのですが、『もっと明るい綺麗な青がいい』と言われて、この色になりました」と続けた。
▲アムロの色設定(左:機動戦士ガンダム、右:THE ORIGIN)。
また、影については「画面映えするので少し濃い色にしていたのですが、安彦さんからの希望で、影とベースの境目を柔らかくしました」とのこと。
こうして基本色が決められるが、夜など暗い場面だと色が浮いてしまうので、背景にあわせて調整することも色彩設計の仕事だそうだ。
▲基本色をそのままあわせたもの(左)、背景にあわせてキャラクターの色を調整したもの(右)。
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続いて、「撮影」についての話題へ。スクリーンには「レイアウト」と呼ばれる画像が映し出され、「アニメーション制作における“設計図”のようなもので、これにあわせて人物や背景を合成します」と説明された。「レイアウト」には「TU(Track Up)」など、カメラワークも書き込まれている。ちなみにこの「レイアウト」は、『THE ORIGIN』では800カット以上も描かれているそうだ。
▲セイラがプールに入っているシーンのレイアウト(左)、左のレイアウトの完成形(右)。
エドワウとセイラの別れの直前のシーンは、キャラクターパートの中で一番素材が多いカットのひとつだという。劇中での物理的な距離はあまりないのだが、空気感を出すために素材が何重にも合成されているそうだ。
さらに、葉は葉脈まで一枚一枚CGでつくられており、全て動いているとのこと。
ぜひとも映像で確認してみよう。
また、ハモンがクラブ・エデンで歌っている場面では、大人のムードを出すための様々な処理が施されている。
甲冑に関しては、谷口プロデューサーが「シルバーだと思ってた」とコメントしていたが、安部さんも「はじめに監督と話した時はシルバーにしていたのですが、安彦さんに『もっと銅みたいなやつじゃない?』と言われてこの色になりました」と語った。さらに、「錆の雰囲気を出してほしい」というオーダーもあったそうだ。
▲ベタ塗りの状態(左)、甲冑に処理を加えたもの(右)。
テアボロ・マスがベッドで寝ているシーンのモニターは、ディスプレイデザインの佐山義則氏が作ったものを画面にあわせてはめ込み、照明効果などの調整を行っているそう。モニターに写っている文字などもきちんと調べて書かなくてはいけないため大変な作業で、昔はわざと潰して見えないようにしていたなど、昔と現在での制作の違いも語られた。
最後に谷口プロデューサーから、2016年春上映予定の第3話「暁の蜂起」について、「まだMSはたいして出てきませんが、アクションシーンも多くてターニングポイントにもなる話なので、ぜひ観てきて頂ければと思います」とあり、続く各人からコメントでトークショーは幕を閉じた。
安部なぎさ
「『THE ORIGIN』という大きな作品に携わらせていただいて、すごく楽しく仕事をしています。観ている方も楽しく見れるように、頑張りたいと思います」
葛山剛士
「劇場のスクリーンを使ってアニメーション制作の話ができたというのは、すごくいい経験になりました。第3話も頑張って撮影していきたいと思います」
谷口 理
「関西の舞台挨拶で皆さんの温かい声援を頂いて、第3話に向けて気合を入れ直してつくっていきたいと思っています。今日の話を思い出しながら観て頂けると、また違った楽しみが出てくると思います。また、絵だけでなく音楽なども一緒に楽しんげいただければと思います。」
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN II 哀しみのアルテイシア』は、11月13日(金)までイベント上映を実施中だ。
劇場で販売中の初回限定版Blu-ray「機動戦士ガンダム THE ORIGIN II Collector’s Edition」は、バンダイビジュアルクラブでも購入可能。また、PlayStation®Storeをはじめとする8つのサービスでは、先行有料配信が行われている。
ぜひこの機会に改めて「THE ORIGIN II」の映像を観てみよう。
(ガンダムインフォ編集部)
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